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インタビュー

2020.09.25

vol.4 おうちブーランジュリー! プロのように焼けるパングルメ
〜ベーカリー&コンベクションオーブンという提案〜

おうちで過ごす時間を使って、お菓子作りやパン作りをはじめる方も多くなりました。キッチンから届く焼きたてパンの香ばしいかおりは、食生活だけではなく気持ちも豊かにしてくれます。そんな生活を手軽に実現できるのが、スイッチひとつでプロのベーカリーのようなパンを焼くことができる、デロンギのパングルメ ベーカリー&コンベクションオーブン。東京・東日本橋でBEAVER BREADを営むオーナーシェフ・割田健一さんに、その魅力とレシピを伺いました。

オートモードでプロも納得できる仕上がりに

パン作りが好きな方でもじょうずに焼くのは難しいと言われている、バゲットやカンパーニュ。小麦粉とイースト、塩など限られた材料で作るパンは、発酵の見極めが難しく、ハードルが高いレシピです。でもせっかくなら、ワインのおつまみになるようなライ麦のパンや、チーズをのせていただくドイツパンのようなものも焼いてみたいですよね。 そんなプロのようなパンが、材料を入れるだけでできあがるのです。

こちらは割田シェフ考案の「栗と全粒粉のパン」。捏ねから発酵まで自動で行うことができ、成型したらふたたびオーブンに戻せば、簡単に焼き上がります。

RECIPEこだわりレシピ

全粒粉栗パン

材料
250ml
全粒粉 265g
強力粉 110g
砂糖 10g
7g
ドライイースト(生イースト) 5.5g(20g)
栗の渋皮煮 113g(約6個分)
作り方
  1. パンボウルにパドルを取り付ける

  2. 栗以外の材料を記載された順にパンボウルに入れる

  3. ゴムべらなどで、材料を粉っぽさがなくなるまで混ぜる

  4. パンボウルを庫内に取り付け、メニュー「AU:4」を選び、START/STOPボタンを押す

  5. 発酵工程が終わり、運転が一時停止し、表示時間が点滅したら、パンボウルを取り出す

  6. パン生地の表面にハサミで縦に切り込みを入れ、栗113g(約6個分)を切り込みの中に入れてオーブンに戻す

強力粉と合わせて使う“全粒粉”とは、お米でいう玄米のように、表皮を剥かずに挽いた小麦粉のこと。
「通常の小麦粉より栄養価が高く、麦独特の風味をダイレクトに感じることができます。焼き色も茶色くなるので、秋らしいイメージに焼き上がりますよ」
牛肉のお料理や赤ワインと相性がいいので、ディナー向けに焼くのもおすすめ。トーストするとより香ばしさが増します。

道具に技アリ! コンベクションを活かすパンボウル

そんなパングルメの魅力は、なんといってもベーカリーとコンベクションオーブンがセットになっていること。自動でパンが焼けるだけでなく、肉料理やオーブン料理もおいしく焼くことができ、キッチンのスペースも有効活用できます。
「デロンギの高級感や洗練されたデザインは、日々の料理へのテンションを上げてくれるという魅力もありますよね」

「捏ねから焼成まで行える専用のパンボウルがついていますから、型や麺棒、マットなどの道具も不要なのもいいところです。熱風をまわして焼き上げるコンベクションタイプのオーブンは、パン生地が乾燥しがちなのですが、深いパンボウルに生地を入れることで程よく湿度を保ち、おいしく焼き上げることができます。初心者にはもちろんですが、これまでパン作りを楽しんできた方も満足できる焼き上がりだと思いますよ」

“はじめてパンを焼くなら、最初はぜひパングルメの特徴であるオートモードでレシピ通りに作り、焼き上がる楽しみを知ってほしい”と割田さんからのアドバイス。最初のパン作りで肝心なのは、“失敗しないこと”なのだそうです。
「パンは、できあがるまでに結構な時間がかかりますよね。材料を揃えてせっかく作ったのに失敗してしまうと悲しいし、やる気がなくなってしまいます。とはいえ、しっかり発酵しているかどうかの見極めは、やはり経験がないと難しい。でも、そこをいい具合にサポートしてくれるのがパングルメです。誰もが同じようにおいしく焼けるので、まずは失敗なく焼き上がる成功体験を味わっていただき、家で焼きたてのパンが食べられることを楽しんでほしいです」

どんなシチュエーションにも合う! 万能な田舎パン

使い方に慣れてきたら、先に発酵させた生地と本生地を混ぜ合わせる中種法を使った、より本格的なレシピにもチャレンジしてみましょう。2つめに紹介したいのは、「全粒粉とライ麦の田舎パン」です。混ぜた三種類の粉の風味を楽しんでいただけるレシピです。

「ライ麦は小麦と同じイネ科の植物ですが、タンパク質含有量が少し低く、独特の香りと酸味が特徴。水分の含みがよいので、弾力があってもちもちとした食感になるんです。さまざまなシーンで役立つ万能なパンなので、何度も焼いていただきたいですね。朝ごはんにトーストしたり、お昼ならタルティーヌにしたりお惣菜やメインディッシュと合わせたり、夜はチーズやワイン、煮込み料理に添えるのもおすすめです。季節を問わずいつでも食べていただけます」

RECIPEこだわりレシピ

全粒粉とライ麦の田舎パン

材料
中種 半量(水:100ml、強力粉:200g、ドライイースト(生イースト):1g(3g))
90ml
強力粉 80g
全粒粉 20g
ライ麦粉 10g
砂糖 4g
6g
ドライイースト(生イースト) 1g(2g)
作り方
  1. 材料を記載順にパンボウルに入れ混ぜメニュー「SE:1」で中種をつくり、庫内で10〜15時間寝かせる

  2. 残りの材料を記載された順に中種が入ったパンボウルに入れる

  3. ゴムべらなどで、材料を粉っぽさがなくなるまで混ぜる

  4. パンボウルを庫内に取り付け、メニュー「AU:5」を選び、START/STOPボタンを押す

割田さんがお店でも実際に行っている“中種法”と呼ばれる作り方で行うと、ライ麦の持つ独特の酸味と香りをより強く感じることができるそうです。
「パンは焼き上がったらすぐに乾燥がはじまります。生地内の水分がどんどん飛んでいき、パサパサになっていってしまいます。ところが、中種法で作ると製造時間の短縮化、風味不足を補えるのと日持ちをよくする有機酸の確保ができ、もちもち感を長く保っていられるようになります。先に種だけ発酵させなくてはならないので手間はかかるのですが、このもっちりとした食感をぜひ試してみてください」

粉の味をダイレクトに感じられる低加水のパン

つづいてご紹介するのは、「トマトオレンジブールパン」。ドライトマトとドライオレンジを練り込んだ、おやつにもいただけるレシピです。
「こちらはいわゆる流行の高加水パンではなく、水分量を抑えたパンなのですが、実は低加水の方が小麦本来の味や香りをより楽しむことができ、旨みが感じられます」

RECIPEこだわりレシピ

トマトオレンジブールパン

材料
<A>
200ml
強力粉 350g
砂糖 10g
7g
ドライイースト(生イースト) 3g(10g)
ドライトマト (水気を抜いたもの。1cm角に切る)45g
ドライオレンジ (市販の5mmカットのもの)65g
作り方
  1. パンボウルにパドルを取り付ける

  2. <A>の材料を順にパンボウルに入れる

  3. ゴムべらなどで、材料を粉っぽさがなくなるまで混ぜる

  4. パンボウルを庫内に取り付け、メニュー「AU:3」を選び、START/STOPボタンを押す

  5. こね工程が終わり、運転が一時停止し表示時間が点滅したら、パンボウルを取り出す

  6. 打ち粉をしたまな板の上などで、スケッパーを使って生地を5cm角程度にザクザクと切る。ドライトマトとドライオレンジを全体に行き渡るように加えながら、生地をパンボウルにふわっと戻し入れる

  7. パンボウルをオーブンに戻す。発酵工程が終わり、運転が一時停止し表示時間が点滅したら、パンボウルを取り出す。パン生地の表面に小麦粉をまぶして、オーブンに戻す

  8. 焼きあがってさらに焼き色をつけたい場合は、+ボタンで5分程焼き時間を追加し、START/STOPボタンを押す

味のアレンジを楽しみたいならスパイスを加えるのがおすすめ。
「大人っぽく仕上げたいならブラックペッパーを入れてみてください。お菓子のようにいただきたい場合はシナモンをプラスすると、お茶やコーヒーとの相性が抜群です。バジルやローズマリーなどをプラスすれば、爽やかで料理の味を引き立ててくれるパンになりますよ」

もちろん成型するパンにも! ムラなく焼けるコンベクション

パングルメでは、オートモードだけでなく、捏ねや発酵、焼成だけを任せてパンを好みの形に成型することもできます。コンパクトでありながら二段調理ができる庫内は、20Lの広さ。
「コンベクションオーブンは熱風をまわして焼き上げるので、広さがあってもどの場所に置いたパンもムラなくきれいな焼き色がつけられます。実はパン作りでの大きな失敗のひとつは、焼き加減を間違えてしまうこと。焼きが甘いなら焼き時間を長くできますが、焼きすぎてしまったものは残念ながら取り返しがつかないですよね。パングルメはその点、火の入りがとても柔らかく、オーブンとしてとても優秀。火力が強くて、余熱や温度が下がったときの回復も素早いのに、焼き過ぎることがありません」

パンの材料にこだわりを持って作るのも楽しみのひとつに

パン作りにもっとオリジナリティーを出したい方は、粉の種類に意識を向けて選んでみましょう。
「全粒粉やライ麦はさまざまな挽き方があり、どんなものを使うかでパンの食感がずいぶん変わります。細挽きで目の細かいものならパンはシンプルかつあっさりとした味わいに、中挽き、粗挽きになってくるとザラザラとした触り心地の粉になり、食べた印象もかなりバリッとした歯触りになります」

製パンに使用する砂糖や塩を変えてみるのも楽しいでしょう。割田さんおすすめの砂糖はきび糖。また、塩は海藻と塩水から作った国産の“藻塩”を使っているそうです。
「ガツンとした甘さではなく、まろやかでコクのある上品な甘みを出すことができます。塩は、パンに味をつける意味もありますが、実は小麦粉をだれさせないためでもある大事な材料です。フランス系のパンは現地と同じような硬水を仕込み水にして焼くと、生地の締まりがよいと言われていますよね。それでもいいのですが、マグネシウム含有量の多い塩を使うことで、仕込み水が日本の水であっても同じ効果を出すことができます。使う塩を選んでみると、またいいパンが焼けるようになりますよ」

そんな20年以上もパンと向き合ってきた割田シェフのお店「BEAVER BREAD」は、パン屋さんがない街に誕生したベーカリー。お店ができて、東日本橋の風景はがらりと変わりました。
「開店してご近所の方々に感謝されるとは思ってもみなかったのですが、ただそこに一軒のベーカリーができただけで、人々の動きが変わったのを実感しました。朝、駅までまっすぐ通勤していた人が寄ってパンを買ってから行くようになったり、帰りにコンビニでごはんを買っていた人が夕飯を買っていってくれたり。今ではマンションの募集広告にもBEAVER BREADの存在が書いてある。そのくらいパンと生活は密接な関係があるのですよね」

パン作りをはじめると、キッチンの景色が変わります。パンを切り分けていると、ふとやさしい気持ちになれたり、ラッピングして誰かに渡したくなったり。冷凍庫に保存しておいたパンをトーストするだけだって、嬉しくなってしまうかもしれません。焼きたての湯気とおいしい香りに包まれるしあわせ、ぜひ味わってみてください。

監修/BEAVER BREAD代表 割田健一
取材・文/吉川愛歩