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インタビュー

2020.11.25

vol.6 これだけは自家製にしたい! パーティーを彩る一品
〜+テイクアウトでクリスマスを華やかに〜

季節が一段進み、クリスマスや年末の予定を考えるシーズンも近づいてきています。どのようなクリスマスパーティーにするか、頭を悩ませてはいませんか。今年は、これまでテイクアウトサービスをしてなかったレストランやビストロなどで、テイクアウトやデリバリーができる店舗が増えました。小さなお子さんがいるご家庭や、自宅でゆっくり過ごしたい方は、手作りのものとテイクアウトできるものを組み合わせてみるのはいかがでしょうか。お料理のアイデアを、デロンギのコンベクションオーブンを20年以上使い続けていただいている料理家・渡辺麻紀さんに伺いました。

1 ローストチキンを自家製にする!
コンベクションオーブンでちょうどよい焼き加減に

クリスマスパーティーの主役といえば、やっぱり丸ごと焼くローストチキン。丸鶏を扱うのは一見難しそうに思えますが、手順さえしっかりマスターしておけば大丈夫。コンベクションオーブンでじっくり焼いた丸鶏は、皮がパリッとし、肉質はジューシーで、カットしたものとはまた違う美味しさがあります。何よりハレの日らしさがぐっと出て、それだけで食卓が贅沢になりますよ。
「人数が少ないときにはもも肉だけをコンパクトに焼き上げるのもいいのですが、食べられなかった部分のお肉をほぐしておけば、保存や他の料理にまわすこともできます。たとえば、ほぐしたお肉をりんご入りのポテトサラダと混ぜ、粒マスタードを入れてチキンサラダにするのもおすすめですし、それをサンドイッチにするのがわたしは大好き。本当にとっても美味しいですよ。パスタやリゾットに入れてもいいですし、冷凍保存もできますから、丸ごと焼いても食べられない! ではなく、残ったものを上手に使ってみてください。クリスマスシーズンではないと、なかなか普通のスーパーで丸鶏を買うこともできませんから、チャレンジしてみてくださいね」

ジューシーに焼きあげるための調理法

まずは丸鶏の選び方から教えていただきます。クリスマスシーズンであれば、スーパーの肉売り場に並ぶことも多いのですが、予約することもできる場合がありますから問い合わせてみましょう。近隣に精肉店がある場合は、注文しておくのもおすすめです。
「購入するときのコツで、実はいちばん大切で忘れてはならないのは、“コンベクションオーブンに入るサイズの鶏を買うこと”なんです。そんなこと……って思うかもしれませんが、シーズン中は普段と違って大きく育てた鶏肉が並ぶことも多く、レストランなどの業務用コンベクションオーブンよりも庫内が小さいので、買ってきたのに入らない! ということも予想されます。予約注文する際は、コンベクションオーブンの庫内サイズを確認して若鶏や小さめのサイズで、と伝えておきましょう。フランスでは、鶏の性別や月齢で鶏肉の呼び名が分かれていて、たとえば煮込み用なら子どもを産んで歳を取った鶏を、ローストするなら若鶏を、というふうに消費者が選んで買うことができるんですよ」

ローストチキンをおいしく焼く5つのコツ

(1)お腹のなかをしっかり掃除する
一般的にはきれいに処理されて販売しているものが多いのですが、焼く前に内部を確認してみましょう。
「血合いがついていたり、内臓が取りきれておらず汚れが気になるようでしたら、手早く水で洗い流しましょう。内側は尖ったあばら骨が出ていて手指に刺さる危険があるので、ブラシを使ったりキッチンペーパーを手に巻いたりしてお掃除します。洗い終えたらよく水気を切っておきます」

(2)内側にも塩胡椒を擦りこむ

内側にも塩胡椒を擦りこむ
塩胡椒をするときは皮目の方だけでなく、お肉の方にしっかり揉みこむことで、食べたときのおいしさにつながるそうです。
「皮目の方に振りかける塩胡椒はファーストアタックになる味で、それだけだとお肉を食べ進めていったときに味が薄くなっていってしまいます。内側やお肉の部分にしっかり擦りこむことで、お肉全体が美味しくなりますよ」

(3)皮目にオイルを塗ってから焼く
ジューシーなお肉とパリッとした皮を楽しむために、外側にオイルを塗ってから焼きましょう。
「オイルはオリーブオイルでもグレープシードオイルでも太白ごま油でも、香りが邪魔にならないものならなんでも構いません。外側にオイルを塗っておくことで、皮はいわば北京ダックのようにカリカリに焼き上げることができ、内側の水分を保つ働きもしてくれるので、お肉がジューシーに焼き上がります」

(4)お肉を室温に戻してから焼く

お肉を室温に戻してから焼く
冷蔵庫から出したばかりのお肉は芯まで冷えていて、余熱をしていてもそのままではなかなか深部の温度を上げることができません。焼きはじめる2時間以上前には室温に出しておきましょう。
「焼くのにいちばん時間がかかるのは、肉厚なもも肉の部分です。一方、胸肉は薄いので、このふたつの部位を同じ時間でうまく焼き上げることが重要。なかなか中まで焼けずに焼き時間を伸ばし続けていると、お肉が薄い胸肉や皮が先に焼けていってしまい、パサパサになってしまうのです」

(5)もも肉にアロゼする
カットできない丸鶏の焼き加減を見極めるのは難しいのですが、レシピにある時間を目安にして焼いていきます。また、もも肉にだけアロゼという肉に油を振りかけながら焼く調理法を使うのも、ひとつの手だそうです。
「焼いていくと、鶏肉から出た油がトレイに溜まっていきます。油が溜まったら、いったんコンベクションオーブンからトレイごとお肉を出し、高温になった油をもも肉のあたりに2〜3回ずつまわしかけてから、ふたたびコンベクションオーブンに戻して焼きます。こうすることで高温になった油が熱を通してくれる役割をしてくれます」

RECIPEレシピ

チキンのベイク

材料(2人分)
骨つき鶏もも肉 2本
小さじ1/2
粗挽き黒こしょう 小さじ2
オリーブオイル 大さじ2
ローズマリー 4〜5本
レモン 1/2個
紫玉ねぎ 1/2個
<レモンクリームチーズソース>
クリームチーズ(室温) 60g
牛乳 大さじ2
レモン汁 小さじ2
レモンの皮(すりおろし) 少々
塩・粗挽き黒こしょう 各少々
作り方
  1. レモンを2~3つに切る。玉ねぎは4~5つのクシ形に切る。鶏もも肉は骨にそって4ヶ所切り込みを入れ、軟骨にも切り込みを入れる。肉を入れ、こしょう、オリーブオイルをもみ込み、レモンをしぼりかけてローズマリー、玉ねぎをのせ15分ほどおいてなじませる。オーブンを予熱する。

  2. オイルプレートをトレイにセットし、鶏もも肉の骨が見えている面を上にし、他の材料とともにのせる。1で残ったオイル類を玉ねぎにまわしかけ、200℃で15分ほどベイクする。取り出して、チキンの皮面を上にし、さらに15分ほどベイクする。

  3. クリームチーズと牛乳、レモン汁、塩を混ぜ、器に盛る。レモンの皮をのせ、こしょうをふる。

2 グラタンを自家製にする!
食材を変えてオリジナルにアレンジも

もう一品、クリスマスディナーにおすすめしたいのがグラタン。渡辺さんに考えていただいた「里芋とくるみのグラタン」は、和風テイストで大人の味に仕上がっています。
「グラタンというと、子ども向けのお料理というイメージもあるのですが、“里芋とくるみのグラタン”は、ワインと一緒に楽しむこともできるこっくりとした味。ねっとりとした里芋と濃厚なクリームが身体を温めてくれ、その中にくるみを入れることで食感のアクセントも楽しむことができます。ごはんと一緒にもいただける味なので、ごはんにかけて即席ドリアにしてもおいしいですよ」

RECIPEレシピ

里芋とくるみの和風グラタン

材料(2人分)
下ゆでした里芋(市販のものでも可) 6~8個
くるみ 8粒(15g)
鶏ひき肉 150g
生クリーム 150ml
味噌 大さじ1
塩・粗挽き黒こしょう 各少々
ミックスチーズ(シュレッドチーズ) 50g
パン粉 大さじ2
溶かしバター 小さじ4
作り方
  1. オーブンは予熱する。味噌を生クリームで溶き、のばす。里芋は食べやすい大きさに切る

  2. 里芋とくるみの和風グラタン 作り方
    耐熱容器へ溶かしバターの半量を塗り、ひき肉を広げて軽く塩・こしょうをふる。その上に里芋をのせ、こしょうをふる。くるみを散らし、味噌クリームを流し入れる。
  3. ミックスチーズ、パン粉を散らし、残りの溶かしバターをまわしかけベイクする。焦げるようなら下段に移す。

レトルトの里芋を使うと簡単ながら上手にできる
里芋は皮をむくのが大変、というイメージもありますが、渡辺先生曰く、冷凍してあるものや真空パックのものでもおいしく作れるそう。
「自分で下ゆでしたものでなくても、すでに火が通っているレトルトのもので作れば、さらに手軽でおすすめです。もし生の里芋から作るのであれば、下ゆでの際に芯まで火が通っているか確認し、均一の厚さにカットするようご留意ください。また、このレシピはホワイトソースではなく、生クリームに味噌を溶く方法で作っています。ホワイトソースを一から作るとなると大変ですが、とにかく混ぜてしまえばできるというのも簡単です」

3 デザートを自家製にする!
とろみ食感で大人味のチョコレートケーキ

最後にご紹介いただいたのは、とろ~りとした濃厚なチョコレートケーキ。焼きこんだものももちろんおいしいのですが、やっぱりレアでしっとりとしたチョコレートケーキは特別な存在ですよね。
「柔らかいチョコレートケーキは、焼き加減が難しくテクニックが必要なのですが、コンベクションオーブンだと熱効率がよいので、何も考えなくても本当に上手に焼くことができます。道具が助けてくれるおかげで料理上手になったと嬉しくなるくらい、お店で買ったような味になりますよ」

RECIPEレシピ

しっとりチョコレートケーキ

材料 (100mL容量の耐熱容器4個分)
製菓用チョコレート(セミスイート※) 50g
無塩バター 50g
卵(Mサイズ・室温) 1個
砂糖 30g
薄力粉 30g
ベーキングパウダー 小さじ1/2
※ここでは、カカオ分56%のチョコレートを使用
作り方
  1. しっとりチョコレートケーキ 作り方
    容器にグラシンカップ(焼き菓子用紙型)を敷き、トレイに置く。薄力粉とベーキングパウダーは合わせてふるっておく。ボウルに刻んだチョコレートと1㎝角に切ったバター、砂糖を入れ、湯煎にかけて溶かす。
  2. 1を湯煎からはずし、よくといた卵を加えて、泡立てないようにしながらホイッパーですり混ぜる。

  3. 粉類を加え、ゴムベラでさっくり混ぜる。型に入れ、200℃で10分焼き、中央がとろとろの状態で取り出す。型のまま網にのせて冷ます。

チョコレートは製菓材料店で購入したものを
チョコレートのお菓子を作るときに気にしたいのは、やはりチョコレートの質。選ぶチョコレートによってダイレクトに味が変わるので、ここはこだわりたいポイントでもあります。
「高価なものやオーガニックのものである必要はありません。ただ、カカオのパーセンテージを守らないと、甘みやできあがりの生地のやわらかさがまったく変わってしまうので注意してください。わたしのレシピでは、56~63%程度のチョコレートを使用してつくっています。一般的にとても手に入りやすく、誰が食べてもおいしいと感じられるような風味のチョコレートです。このカカオ含有量に合わせてお砂糖の量を調節していますから、たとえば市販の板チョコで作ってしまうとお砂糖が多すぎて甘くなったり、ビターなチョコレートだと甘みが足りなかったりしますから注意しましょう」
華やかなクリスマスメニューにチャレンジするのは大変ですが、調理の手順に倣ってぜひ作ってみてくださいね。いつもと違う食卓の風景が、きっと周りの人を笑顔にしてくれますよ。
渡辺さんが考案した、デロンギのコンベクションオーブンで作れるレシピは、公式インスタグラムやデロンギ・キッチンのWEBサイトでも公開中。
レシピの豊富さをぜひご覧ください。
https://www.instagram.com/delonghi_japan/
https://kitchen.delonghi.co.jp/recipe/recipe_cat/convectionoven/eo90155j/

監修/渡辺麻紀
取材・文/吉川愛歩